2026年4月19日(日)18:00〜@オンライン
― それでも人は笑いたい、愛したい、語りたい ―
これまで本講座では、聖書、古事記、ギリシャ神話など、「神を中心とした世界の物語」を扱ってきました。
そこでは、世界の秩序も、人間の運命も、神によって定められるものとして描かれます。
しかし、時代は大きく転換します。
キリスト教が社会の中心となり、人々の価値観や生き方を強く規定していた中世ヨーロッパ。
その世界を揺るがしたのがペスト(黒死病)でした。。
多くの命が失われ、それまで当然とされていた秩序は崩れていきます。
そして人々は問い始めました。
「人間は、どう生きるべきなのか」
その中で生まれたのが、ボッカチオ『デカメロン』です。
この作品では、男女10人が「疎開」して10日間、渾身のすべらない話を語り合います。
恋、機知、裏切り、欲望、ユーモア。
100の物語に描かれるのは、あまりにも人間らしい姿なんです。
神の時代から、人間の時代へ…価値観が移り変わる瞬間を捉えた、ルネサンス文学の傑作。
現代もまた、不安や混乱と無縁ではありません。
そんな今だからこそ、人はどのように生きるのか、何を求めるのか…
古典から見つめ直すことに意味があるのではないでしょうか。
・ボッカチオと『デカメロン』の時代設定
・宗教:異教徒と語る
・機知:ピンチを笑いに変える!
・女性:奔放で自分を大切にする生き方
まずは著者ボッカチオの紹介と時代背景の説明から。
身分の低い謎の女性の私生児として、トスカーナ地方?で誕生したボッカチオ。
父親に認知され引き取られるも、幼い頃はフィレンツェの貧しい人々が暮らすエリアで育ちました。
父親が、バルディ銀行のナポリ支店長に就任したことをきっかけに、ボッカチオもナポリへ。
約13年ぶりにフィレンツェに帰郷し、独学で学問を楽しんだ彼は、執筆活動を始めるのでした。
…という作者の経歴だけで、すでに大盛り上がり!
『デカメロン』…なんだか面白いタイトルですが、日本語にすると『十日物語』。
ギリシャ語で「デカ」は10、「メロン」が日という意味なんです。
時代は1348年、ペストが大流行していた時期。
10人の男女が「フィレンツェを抜け出し、田舎の別荘に避難しよう」という設定で語られます。
毎日決められたお題に対して1人1話ずつ、10日間にわたりシェアされた100の物語は、「なるほど!」と聞き手を唸らせるものから、素敵で笑える恋の話、権力者をギャフンと言わせる痛快ストーリー…などなど。
【トークテーマ】
・「ペストという辛い時期を思い出させてしまう…」という前置き
・宗教ネタで笑いを取る!?
・不貞女性の裁判での主張がかっこいい!? 法の在り方をどう思う?
あえて冒頭で「重苦しい不快な印象」「一人残らず心の傷を負いました」としつつ、ペストの話を持ち出しています。
ただ「古今東西の面白い話を集めてきました」でも良いはず。
読者に新しい時代の幕開けを感じさせ、ワクワク感を与えますよね!
たくさんある物語から、この講座で紹介したのは以下3つのジャンル。
①宗教:異教徒と語る
②機知:ピンチを笑いに変える
③女性:奔放で勇敢で、自分を大切にする
全部で7つの物語を皆で楽しみました!
これらに共通するのは「誰も傷つけない笑い」。
・神や聖職者は絶対!
・キリスト教の教えに従うのが善い生き方
・女性は父や夫に従い、貞淑に生きるべき
『デカメロン』の登場人物たちは、そんな古い因習を破っていきます。
・聖職者を批判したり、いたずらを仕掛けたり…
・「この気持ちは止められない!!」本能のままに人間らしく、楽しく生きることを選ぶ
・ピンチや失敗したときは懺悔や処罰…ではなく機転を利かせ笑いに変える!!
大爆笑の連続でした。
そして現代では「コンプライアンス」や「○○ハラスメント」が溢れ、生きづらさを感じている現代人も多いのではないでしょうか?
もっと自分を大切に…
身分や立場を越えて、お互い笑って解決できる方法がある…
それがボッカチオが『デカメロン』を通して現代人に伝えたいメッセージなのかもしれません。
11~12月に『旧約聖書』、1~3月に『古事記』を扱ってきました。
東西の神話から、共通点・類似点もあれば全く異なる価値観も見えて、「人間の心」の本質を考える機会となりました。
そこで今月からは、あえて「神から離れた時代」を選びました。
4月にイタリア文学を読んだ後は…イギリスへ!!
5~6月はシェイクスピアの四大悲劇を一気読みしますよ!
お楽しみに!!



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